【インタビュー】いりおもて博士

聞き手:庄司(「JIGEMON」作者)

 

庄司(以下、S)「今、私は漫画「JIGEMON」の登場人物でいらっしゃる入面手潤一郎博士の島原半島でのお宅にうかがっています。博士はこの家を拠点として調査研究をされているとのことです。博士、今日はお忙しい所お時間を取っていただいてありがとうございました。さっそくですが、質問に入りたいと思います。博士はお見受けしたところ、猫でいらっしゃると思いますが、その認識で正しいでしょうか?」

 

いりおもて博士(以下、いり)「僕はイリオモテヤマネコだ。だからまあ、猫ではないということになる」

 

S 「私は素人なもので、教えていただきたいのですが、イリオモテヤマネコは猫ではないんでしょうか」

 

いり「猫じゃないさ。大きさも違うし、模様だって違う。足の太さも違う。顔からして異なっている。そりゃあ、おおざっぱにくくれば猫だとも言えるかもしれないが、それじゃあライオンだってトラだって猫になっちまうぜ。ネコとつくものがみな猫だったらウミネコもネコジャラシも猫ということになるじゃないか」

 

S 「なるほど、猫とは違うんですね。これは失礼しました」

 

いり「君たち人間は、そんなことも知らないのかい」

 

S 「常識がないもので、恐れ入ります」

 

いり「かまわないさ。まあ君たち人間には少し難しかったかもしれないね。さあ、質問を続けたまえ」

 

S 「博士は島原半島には初めて来られたそうですね」

 

いり「うん。僕はけっこういろいろな場所に行っている方だが、島原半島は訪れたことがない。今回来ることができてうれしく思っているよ」

 

S 「では、ご出身は長崎県ではないということでしょうか」

 

いり「出身は沖縄だよ。イリオモテヤマネコだからね」

 

S 「沖縄から現在大学で教えておられる京都に来られたわけですね」

 

いり「うん。学生のころからずっと京都にいる。もちろんほうぼうに出かけてはいるわけだが。思えばずいぶん長いこと京都に住んでいるものだね」

 

S 「博士はどのような研究をされているのですか」

 

いり「まあ大きく言うと人類学さ。もう少し細かく言うと、民族間関係に関心を持っている。民族を固有のものと考えず、動態としてとらえるわけだ。くわしく説明すると長くなるがね」

 

S 「難しそうな分野ですね」

 

いり「本を貸すから、君も読んでみたらどうだい」

 

S 「勉強してみます。今回博士は学生の方といっしょに来られたんですね」

 

いり「うん。彼は卒業論文のための調査をするんだ。面白いテーマが見つかるといいね」

 

S 「博士はよく帽子をかぶっていらっしゃいますが、帽子がお好きなんですか」

 

いり「出かけるときは帽子をかぶるようにしている。昔からの習慣でね。昔はみなそうしたものだが、最近はそんな習慣もなくなってきているようだね」

 

S 「何かご趣味はありますか」

 

いり「僕は沖縄出身だから、三線が弾けるよ。趣味と言うほどのものではないがね。まあ、たしなみといったものさ」

 

S 「三線ですか。楽器もたしなんでおられるのですね」

 

いり「今回の島原での調査にも持ってきているんだ。僕の腕前を披露する機会があるかもしれない」

 

S 「それはぜひ聴いてみたいです。そういえば私は気になっているのですが、博士が住んでいらっしゃる「JIGEMON」の作品世界には動物ばかりで人間はいないようですが、なぜでしょうか」

 

いり「人間だって? そういえば人間はいないな。大学にだって人間は見ない。確かうちの大学の学生にも人間はいなかったと思う。人間も珍しくなったものだね。僕が学生のころはどうだったかな。そのころにはもういなかったはずだ。いつから人間を見なくなったんだろう。そもそも、人間を最後に見たのはいつだったかなあ。どうも人間なんてはじめからいなかった気がしてきたぞ」

 

S 「すると人間は昔からいなかったのでしょうか」

 

いり「どうもそうらしい。なぜだろうね。核戦争かなにかで滅びたんじゃないのかい。ハハハハハハハ。いや、失敬失敬。冗談だよ。気を悪くしないでくれたまえ。なぜ人間がいないのか、僕にはわからないな。君が作者じゃないか。君が考えたまえ」

 

S 「これは恐れ入ります。最後になりますが、読者の方にメッセージをお願いします」

 

いり「今後は僕の仲間も増えていくと思う。僕たちの活躍をぜひ楽しみに待っていてください」

 

S 「本日はどうもありがとうございました。今後のご活躍を期待しています」

 

いり「まあ、また遊びに来てくれたまえ」

<終わり>

――――――島原半島・長崎県の特産物紹介―――――――

  

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作品
アトリエ ンズリ・サナ / Atelier NZURI SANA

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